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Google Cloudの専門用語がよくわからない…
クラスター、コンポーネント、ランタイムの違いが曖昧
GKEやCloud Runの仕組みを基礎から理解したい

Google Cloudを勉強中だけど、クラスターとかコンポーネントとか…カタカナ用語が多くて混乱しています…。

その気持ち、よくわかります。大丈夫!この記事を読めば、それぞれの役割と関係性がスッキリ整理できますよ。
Google Cloud、特にコンテナ技術やサーバーレスを学ぶ上で避けては通れないのが「クラスター」「コンポーネント」「ランタイム」という3つのキーワードです。
これらの言葉は、なんとなく意味は知っていても、それぞれの正確な違いや関係性を説明するのは難しいですよね。
そこでこの記事では、Google Cloudを理解する上で非常に重要なこれらの基本用語を、身近なものに例えながら、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
- クラスターの基本的な概念
- コンポーネントが持つ複数の意味
- ランタイムの重要な役割
- 3つのキーワードの関係性
クラスター (Cluster)とは?オーケストラで理解する「チーム」の概念
まず「クラスター」から見ていきましょう。
一言でいうと、クラスターは複数のコンピュータ(サーバー)を束ねて、全体で一つの大きなコンピュータのように見せる「チーム」のことです。
ここで、オーケストラを想像してみてください。
オーケストラ全体が「クラスター」です。
そして、バイオリンやトランペットといった個々の演奏者が、クラスターを構成するコンピュータ(ノードと呼ばれます)にあたります。
全体をまとめる指揮者が、クラスターを管理・制御する仕組みです。
オーケストラでは、一人の演奏者が倒れても他のメンバーでカバーできますよね。同様に、クラスターも一台のマシンが故障してもシステム全体は動き続けることができます。
また、観客が増えたら演奏者を追加できるように、処理能力が足りなくなったらマシンを簡単に追加できるのもクラスターの強みです(スケーラビリティ)。
実は以前、GKEクラスターのノード設定で失敗したことがあります。「コストを抑えよう」と一番スペックの低いマシンタイプを選んだら、すぐにリソース不足でアプリケーションが頻繁に停止してしまい、原因特定に1時間以上もハマりました…。
この経験から、アプリケーションの要件に合わせて適切なスペックを選ぶことの重要性を痛感しました。
コンポーネント (Component)とは?文脈で変わる「部品」の意味

「コンポーネント」という言葉もよく聞きますが、使われる場面によって意味が違うような気がして…。

コンポーネントは文脈によって意味合いが変わる、少し厄介な言葉です。主に3つの使われ方があります。
コンポーネントは、基本的にはシステムを成り立たせている「構成要素」や「部品」を指す言葉です。Google Cloudの文脈では、主に以下の3つの意味で使われます。
A) Kubernetes (GKE) のコンポーネント
これは、クラスターというシステム自体を動かしているソフトウェア部品のことです。オーケストラの例でいうと、「指揮者(コントロールプレーン)」や「演奏者(ノード)」が、その役割を果たすために必要な機能部品(例:楽譜を読む能力、楽器を演奏する技術など)を指します。
- コントロールプレーンのコンポーネント: クラスターの頭脳部分(指揮者)を構成する部品群です。(例: kube-apiserver, etcdなど)
- ノードのコンポーネント: 各サーバー(演奏者)上で動く部品です。(例: kubelet, kube-proxyなど)
B) アプリケーションのコンポーネント
これは、一つの大きなアプリケーションを機能ごとに小さく分割した、それぞれのサービス(マイクロサービス)のことです。
例えるなら「レゴブロック」です。ECサイトという大きな作品を、「ユーザー認証」「商品カタログ」「決済」といった小さなレゴブロック(コンポーネント)を組み合わせて作るイメージです。
このアプローチの利点は、各コンポーネントを独立して開発・修正・デプロイできるため、開発スピードが上がり、システム全体の柔軟性も高まることです。
私がアプリケーションをマイクロサービス化する際は、「この機能は、他の機能と切り離して単独でデプロイできるか?」を基準に分割するように工夫しています。これにより、チームごとの開発がスムーズになり、全体の開発効率が格段に向上しました。
C) クラウドアーキテクチャのコンポーネント
これは、Google Cloud上でシステムを構築する際に利用する、各サービスそのものを指します。
例えば、Webアプリケーションを構築する場合、「Cloud Run(アプリケーション実行)」「Cloud Storage(画像保存)」「Cloud SQL(データベース)」といった複数のサービスを組み合わせます。この一つ一つのサービスが、アーキテクチャを構成するコンポーネントと言えます。
ランタイム (Runtime)とは?プログラムを動かす「舞台装置」
最後に「ランタイム」です。これは、あなたが書いたプログラムコードを実際に動かすための「実行環境」を指します。
今度は「演劇」を想像してみてください。
あなたのプログラムコードが「台本」や「役者」だとすると、ランタイムは、役者が演技をするための「舞台、照明、音響、スタッフ」など全てを含んだ環境一式です。
台本だけあっても舞台がなければ演劇はできませんよね。それと同じで、プログラムコードも、それを解釈し、メモリを管理し、OSの機能(ファイル操作など)を呼び出してくれるランタイムがなければ実行できないのです。

なるほど!Cloud Runなどで「Python」とか「Node.js」とか選ぶのが、まさにランタイムを指定しているということですね!

その通りです!GoogleがOSや必要なライブラリを含んだ実行環境(ランタイム)を用意してくれるので、私たちはコードをアップロードするだけでいいのです。
サーバーレスサービス (Cloud Run, App Engine, Cloud Functions):
ユーザーが「どのランタイムを使うか」を明示的に選択します。「Python 3.11 ランタイム」「Node.js 20 ランタイム」のように、言語とバージョンを指定するだけで、最適な実行環境が提供されます。
GKE (コンテナ技術):
GKEの各ノードには、コンテナランタイムと呼ばれるソフトウェア(例: containerd)がインストールされています。これは、コンテナという形でパッケージ化されたアプリケーションを実行するための、より低レイヤーなランタイムです。
まとめ:3つの言葉の関係性
さて、ここまで解説してきた「クラスター」「コンポーネント」「ランタイム」の関係性を整理してみましょう。
利用するサービスによって、これらの言葉を意識するレベルが異なります。
GKEを使う場合
GKE(オーケストラ)の文脈では、以下のように整理できます。
「クラスター(GKE) というチーム(オーケストラ)を作る。
そのチームの各メンバー(ノード)には、コンテナランタイムなどのコンポーネント(部品)が含まれている。
私たちは、自分たちが作ったアプリケーションのコンポーネント(レゴブロック)をコンテナ化し、そのクラスター上で動かす。」
このように、GKEを使う場合は3つのキーワード全てを意識する必要があります。
Cloud Runなどのサーバーレスを使う場合
一方、Cloud Run(演劇)の文脈では、非常にシンプルになります。
「このアプリケーションコード(台本)を、Googleが用意してくれた Python 3.11のランタイム(舞台装置)で実行してください、とお願いするだけ。」
この場合、クラスターやそのコンポーネントを意識する必要はほとんどありません。私たちは自分のコード(台本)と、それを実行する環境(ランタイム)を選ぶだけで済みます。
最後に
今回は、Google Cloudの基本用語である「クラスター」「コンポーネント」「ランタイム」について解説しました。
1.クラスター:複数のコンピュータを束ねた「チーム」(オーケストラ)
2.コンポーネント:システムを構成する「部品」(文脈で意味が変わる)
3.ランタイム:コードを実行するための「舞台装置」
最初は難しく感じるかもしれませんが、それぞれの言葉を身近なものに例えてみると、その役割と関係性がグッと理解しやすくなります。
この記事が、あなたのGoogle Cloud学習の一助となれば幸いです。