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最近「AIエージェント」ってよく聞くけど、違う会社のAI同士って、どうやって話すんだろう?

良い質問ですね。その鍵を握るのが「Agent2Agent プロトコル」、通称A2Aです。AI達の共通ルールですね。
AIが私たちの仕事を助けてくれる「AIエージェント」。GoogleやSalesforceなど、様々な企業が開発を進めていますが、メーカーの違うエージェント同士が協力できなければ、その力は半減してしまいます。
そこで登場したのが、AIエージェント同士が滑らかに連携するためのオープンな共通規格「Agent2Agent(A2A)プロトコル」です。
A2Aプロトコルが何なのか知りたい
AIエージェント同士の連携の仕組みがわからない
将来AIがどう仕事で使われるかイメージしたい
この記事では、A2Aプロトコルの基本から、その仕組み、そして私たちの未来にどう関わってくるのかを、分かりやすく解説します。
- A2Aプロトコルの3つの基本要素
- AIエージェント同士が「名刺交換」する仕組み
- AIエージェントの利用料金や課金モデルの未来
Agent2Agent (A2A) プロトコルとは?

引用:https://a2a-protocol.org/latest/#/
A2Aプロトコルは、一言でいえば「AIエージェントのための、オープンな共通規格とエコシステム」です。
人間が初めて会う人と、日本語という共通言語を使い、名刺を交換してお互いの素性や能力を理解し、協力して仕事を進めるのに非常に似ています。
A2Aプロトコルは、この「共通言語」と「名刺交換のルール」をAIエージェントの世界で実現するための取り決めなのです。
A2Aプロトコルの3つの柱
A2Aプロトコルは、主に3つの重要な考え方に基づいています。
エージェントは自身の機能(何ができるか)や、ユーザーとの対話方法(テキスト、フォーム、音声など)を公開し、他のエージェントと安全に連携します。これが「名刺交換」にあたります。
この規格はGoogle一社で作っているわけではありません。Box、Deloitte、Elastic、Salesforce、ServiceNowなど、50社以上の名だたる企業がパートナーとして共同開発に参加しています。これにより、広く使われる公平なルール作りを目指しています。
エージェントがどんな技術(ADK, LangGraph, Crew.aiなど)で作られていても関係ありません。特定の会社の製品や技術に縛られず、様々なエージェントが自由に参加できるのが大きな特徴です。

この3つの柱によって、AIエージェント達がメーカーの垣根を越えて協力しあえる世界の実現を目指しているのです。

なるほど!でも「名刺交換」とか「利用料金」とか、具体的な仕組みがまだよくわからないな…。
【人間そっくり】AIエージェントの連携の仕組み
A2Aプロトコルの仕組みは、驚くほど私たちの社会に似ています。ここでは「どうやって接続するの?」「お金はかかるの?」といった疑問に答えていきます。
① デジタル名刺交換:APIとエージェントカード
AIエージェント同士の接続は、まさに人間社会のビジネスコミュニケーションそのものです。
- APIエンドポイント = 会社の代表連絡先
各エージェントは通信を受け付ける窓口(APIエンドポイント)を持っています。これが「会社の電話番号」や「部署のメールアドレス」にあたります。 - GET/POSTリクエスト = 用件を伝える電話やメール
相手の連絡先がわかったら、「このタスクをお願いします(POST)」や「進捗どうですか?(GET)」といった形で、Webで標準的に使われる方法でやり取りします。 - エージェントカード (JSONファイル) = 名刺 兼 職務経歴書
これが最も重要な部分です。エージェントは「私はフライト予約が得意です」「データ分析ができます」といった自己紹介と連絡先、仕事の依頼方法が書かれたデジタル名刺を持っています。これをお互いに交換することで、初めて会ったエージェント同士でも、相手の能力を理解し、すぐに協力を始められるのです。

この「デジタル名刺交換」の仕組みがあるからこそ、異なる会社のAIエージェントがスムーズに連携できるわけです。
② 利用料金の仕組み:AIエージェント経済圏の誕生
「エージェント同士の仕事はタダなの?」という疑問が浮かびますよね。結論として、基本的には有料になると考えられています。
ただし、A2Aプロトコル自体は支払い方法を決めるものではなく、あくまで「やり取りの作法」を定めるだけです。その上で、以下のような課金モデルが考えられています。
- API利用料モデル(現在主流):仕事を依頼した側が、実行したエージェントの提供元(Googleなど)に、処理内容に応じた料金を支払う、現在のクラウドサービスと同じモデル。
- サブスクリプションモデル:特定のエージェントを月額課金などで使い放題にするモデル。
- エージェント間決済モデル(未来的):AIエージェント同士が、タスク完了時に仮想通貨などで自動的に支払いを行うモデル。A2Aが普及すれば、このような自律的なAI経済圏が生まれる可能性があります。
③ リアルタイム更新(SSE)の仕組み:ピザの宅配状況がわかるアプリ
A2Aでは、時間のかかるタスクの進捗をリアルタイムで受け取るためにServer-Sent Events (SSE)という技術もサポートしています。

そのSSEって、何のために必要なの?
これは、ピザの宅配アプリを想像すると非常に分かりやすいです。
もしSSEがなければ、あなたは「ピザまだ?」「もう焼けた?」と何度もお店に電話(問い合わせ)しなければなりません。
しかしSSEがあると、アプリの画面が自動で「調理を開始しました」「配達に出発しました」と更新されていきますよね。あなたは待っているだけで、お店側から勝手に情報が送られてきます。
AIに市場分析のような重い仕事を頼んだ時、このSSEの仕組みがあることで、「データ収集中」「50%完了」といった進捗をリアルタイムで受け取れるのです。これは非常に重要です。
まとめ:A2Aが切り拓くAIエージェントの未来
今回は、AIエージェント同士の共通言語である「Agent2Agent プロトコル」について、その仕組みを人間社会に例えて解説しました。
1. A2AはAIエージェントの「共通言語」
メーカーの垣根を越えてAI同士が協力するためのオープンなルール。
2. 仕組みは「デジタル名刺交換」
各エージェントが能力や連絡先を書いた「エージェントカード」を持ち、APIでやり取りする。
3. 自律的な「AI経済圏」の誕生へ
将来はエージェント間で仕事の対価を自動決済するなど、新しい経済が生まれる可能性がある。
よくある質問
- ADKやMCPとは何が違うのですか?
- ADK (Agent Development Kit) や MCP (Model-View-Controller Pattern) は、AIエージェント「そのもの」を構築するためのツールや設計思想です。一方でA2Aは、そうして作られた様々なエージェント同士が「どうやって会話するか」という通信のルールを定めたものです。A2AはMCPを補完する役割と言えます。
- この技術はもう使われているのですか?
- A2Aプロトコルは現在、GoogleやSalesforce、SAPといった多くの主要企業が参加して共同開発を進めている段階です。まだ完全に普及しているわけではありませんが、AIの未来を支える重要な基盤技術として、今後の発展が期待されています。