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PCの動作が重い…よし、メモリを増設しよう!そう思ってAmazonで高評価のメモリを買ったのに、「なぜか前より調子が悪くなった…」なんて経験はありませんか?
実は、PCのメモリ選びにはスペック表の数字だけではわからない、重要な「相性」の問題が存在します。
この記事では、実際の失敗談をもとに、あなたのPCに最適なメモリを選び抜き、快適なPC環境を手に入れるための具体的な手順と知識を徹底解説します。
- ゲーミングメモリでPCが不安定になる本当の理由
- 「JEDEC」と「XMP」というメモリ規格の決定的違い
- Amazonの口コミから「相性問題」を見抜く方法
- 自分のPCに最適なメモリを確実に選ぶための手順
【失敗談】Acer Nitro 5のメモリを交換したら動画がカクつくように…
まずは、今回の物語の主人公であるPCと、交換したメモリについてご紹介します。
- PC:Acer ゲーミングノートPC Nitro 5 (AN515-58)
- 元のメモリ:Micron製 16GB (8GB×2枚) DDR5 4800MHz
- 交換したメモリ:CORSAIR VENGEANCE 32GB (16GB×2枚) DDR5 4800MHz

動画編集を快適にするために、メモリを16GBから32GBに倍増させたんだ!
スペック上は同じ速度(4800MHz)で、容量は倍。これで作業がサクサク進むはず…と思いきや、予期せぬトラブルが発生します。
なんと、動画編集ソフトのプレビュー再生がカクカクになり、頻繁に止まってしまうようになったのです。
容量を増やしたはずなのに、なぜパフォーマンスが落ちてしまったのでしょうか?

それは、メモリの「相性問題」が原因です。特に「ゲーミングメモリ」と呼ばれる高性能メモリに多い現象ですね。
【原因】JEDEC vs XMP – 知られざるメモリ規格の「裏ルール」
メモリのスペックを見ているだけでは、この問題は解決しません。原因を理解するために、2つの重要なキーワード、「JEDEC」と「XMP」について知る必要があります。
JEDEC対応メモリ:安全運転の「純正部品」
JEDEC(ジェデック)とは、メモリの世界共通のルールブックを定めている標準化団体のことです。
JEDEC対応メモリは、このルールブックに厳密に従って作られた、いわば「純正部品」のようなもの。AcerやDELLなどのメーカー製PCは、この規格を基準に設計されているため、相性問題が起きることは極めて稀です。
XMP対応メモリ:性能引き上げの「カスタムパーツ」
一方、今回問題となったCORSAIR VENGEANCEのような「ゲーミングメモリ」は、XMP(Extreme Memory Profile)という特殊な設定情報を持っています。
これは、JEDECの定めた安全な速度よりもさらに高いパフォーマンスを引き出すための「チューニング情報」です。いわば、車に取り付ける「カスタムパーツ」のような存在です。
結果として、PCは未知のカスタムパーツ(XMPメモリ)をうまく制御できず、高負荷時に動作が不安定になってしまったのです。これが、動画プレビューがカクついた本当の原因でした。

なるほど…!速いメモリを買えばいいってものじゃないんだね。

その通りです。特にメーカー製PCの場合は、JEDEC規格に準拠した「標準メモリ」を選ぶことが失敗しないための鍵になります。
【解決策】失敗しないメモリ選び!3つの鉄則
では、どうすれば自分のPCにピッタリのメモリを選べるのでしょうか?ここからは、相性問題で失敗しないための具体的な手順と鉄則をご紹介します。
最も確実な方法は、PCに元々搭載されているメモリと同じメーカーの製品を選ぶことです。今回のAcer Nitro 5には「Micron(マイクロン)」製のメモリが搭載されていました。
そして、Micronが個人向けに展開しているブランドが「Crucial(クルーシャル)」です。つまり、Crucialのメモリはメーカー純正品とほぼ同等品質であり、互換性は群を抜いて高いと言えます。
もし純正メーカーが不明な場合でも、JEDEC規格に準拠したスタンダードなメモリを選べばまず問題ありません。見分けるポイントは以下の通りです。
- ヒートシンク(金属のカバー)が付いていない緑色の基盤
- 「ゲーミング」「OC」「Overclock」といった表記がない
- 信頼できる大手メーカー製(Crucial, Samsung, SK Hynixなど)
購入したいメモリが決まったら、Amazonのレビューを確認しましょう。その際、特に注目すべきは「星1〜2」の低評価レビューです。
「自分のPCモデル名+相性問題」「起動しない」といったキーワードで検索すると、今回のように「Acer Nitroで起動ループに陥った」というような、具体的な失敗事例が見つかることがあります。これは何よりの判断材料になります。

なるほど!高評価の数だけでなく、低評価の中身が重要なんだね。
最終的に、Acer Nitro 5にはCrucial製のDDR5-4800MHz 16GBメモリを2枚購入。これにより、動画編集のカクつきは完全に解消され、快適なPC環境を取り戻すことができました。
【応用編】別のPCのメモリもアップグレードしたい!
この知識を使えば、他のPCのメモリ増設も怖くありません。例えば、もう一台のPC「MSI GF63 Thin 10SC」のアップグレードも考えてみましょう。

Acerで使えなかったDDR5メモリ、こっちのPCで使えないかな?

残念ながら、それはできません。CPUの世代によって対応するメモリの「規格」自体が違うからです。
PCモデル | CPU世代 | 対応メモリ規格 |
---|---|---|
Acer Nitro 5 (AN515-58) | 第12世代 Intel Core | DDR5 |
MSI GF63 Thin 10SC | 第10世代 Intel Core | DDR4 |
DDR4とDDR5では、ピンの数や基盤の切り欠きの位置が違うため、物理的に挿し込むことすらできません。これは相性以前の、根本的な規格の違いなのです。
【Q&A】メモリ増設でよくある質問
- 違うメーカーのメモリを混ぜて使ってもいい?
- 基本的には避けるべきです。メーカーや製品ロットが違うと、同じスペック表記でも微妙な動作の「クセ」が異なり、相性問題の原因になることがあります。最高のパフォーマンスと安定性を求めるなら、必ず同じメーカー・同じ型番のメモリ2枚セットで使うことをお勧めします。
- 違う速度のメモリを混ぜたらどうなる?
- PCは「最も遅いメモリの速度」に合わせて動作します。例えば、高速な2933MHzのメモリと低速な2400MHzのメモリを一緒に挿すと、両方とも2400MHzで動作してしまいます。せっかくの高性能メモリのスペックが無駄になるため、必ず同じ速度のメモリで統一しましょう。
- 違う容量のメモリ(8GBと4GBなど)を組み合わせてもいい?
- 動作はしますが、お勧めしません。メモリの性能を最大限に引き出す「デュアルチャネル」という技術は、同じ容量のメモリ2枚で最も効果を発揮します。容量が違うと「Flexモード」という非対称な動作になり、デュアルチャネルの効果が半減してしまいます。
まとめ:PCメモリ選びは「純正品」の発想が成功の鍵!
今回は、PCのメモリ増設で失敗しないための選び方について、実際の体験談をもとに解説しました。
- メーカー製PCには「JEDEC準拠」の標準メモリが最適
- XMP対応のゲーミングメモリは相性問題のリスクがある
- PCのCPU世代によって対応するメモリ規格(DDR4/DDR5)が違う
- Crucialなど純正採用されるメーカー品が最も確実

メモリ選びって奥が深いんだね。これで安心して増設できるよ!
PCのパーツ選びは難しく感じるかもしれませんが、「自分のPCに合った純正部品を選ぶ」というシンプルな考え方を持つだけで、失敗のリスクは劇的に減らせます。
この記事が、あなたの快適なPCライフの一助となれば幸いです。

正しい知識で、賢くPCをアップグレードしていきましょう。応援しています!