無人レジ コンビニの今後の戦略とは 「Amazon Go」未来の店舗のカタチ

2017年3月、Amazonが「Amazon Go」と
呼ばれるAI技術を使った無人コンビニを
シアトルにオープンする予定が延期になりました。

無人コンビニは技術的難易度が高く、
トラブルが多発することは容易に想像できるが、
本格的に普及した場合の影響は大きい。

無人コンビニは社会や経済に対して
どのような影響を与える可能性があるのか。

買い物の流れ

スマートフォンでバーコードを表示させ、
入場ゲートで読み込み、商品を選び、
終わったら店を出る。

これだけで買い物が終わります。

途中で商品を棚に戻せば、
その分はきちんとキャンセルされます。

Amazon Goのシステムが、店内で誰がどんな商品を
手に取ったり、カバンに入れたかを認識しています。

店を出るときに商品の金額を
Amazonアカウントで決済できます。

この仕組みは、レジなし店舗の中でも
一番、顧客に優しい仕組みです。

顧客は、スマホを商品にかざして
バーコードを読み取ったり、
専用の買い物カゴを用いて
商品のRFIDを読み取らせたり、
商品の重さをレジに認識させる、
といった面倒な行動は省くことができるから。

Amazon Goは、商品の陳列や
サポートの要因は必要かもしれませんが、
それ以外のオペレーションをすべて、
テクノロジーによって解決しています。

Amazon Goの買い物の流れ

完全レジなしのオペレーションは、
「センサーの組み合わせ」で実現しています。

買い物の流れを見てみましょう。

①入店

まずは入店です。

入店時には専用のアプリで発行される
バーコードをスキャンします。

加えて、店内にあるカメラなどのセンサーで
入店者を特定します。

これは通常の利用者の決済に
利用されると同時に、
万引きなどの防止につながる仕組み
になっています。

実は、店舗内での行動が常に
トラッキングされています。
ECショップと同じみたいですね。

②商品選択

棚から商品を選択すると、
カメラがその商品のパッケージを
認識して商品を特定します。

商品のパッケージだけでなく、
「ユーザの手」も認識するようです。

どの商品を手に取ったのか、
戻したのかまで判別します。

一度手に取った商品でも
棚に戻せば課金はされません。

店内には「カメラ」だけでなく
「マイク」も多数設置されています。
詳細な位置を音から特定するようです。

音声認識技術は、300万台以上を
売り上げたAmazon Echoの技術を使っています。

カメラとマイクが店内に何個設置されるのかは
分かっていませんが、店内にいる間
どこをどのように動いているのかという情報は、
Amazon側に蓄積されます。

棚には、赤外線、圧力、重量センサーなど
多数のセンサーが設置されており、
商品の数や移動などを詳細に
トラッキングしているようです。

③決済

支払いは出口のゲートを通過するだけです。

Amazonのアカウントから
購入した分が自動で引き落とされます。

「Amazon Go」が社会・経済にもたらす影響とは?

Amazon Goの利用者は、
あらかじめスマホに専用アプリを
ダウンロードして入店します。

店内では無数のカメラやセンサーが
動作しており、AIが常に状況を解析します。

前述した通り、
顧客が商品を手に取ったと認識すれば、
自動的にアプリの買い物カゴに入り、
店を出るとアマゾンのアカウントで
課金される仕組みになっています。

Amazonが無人コンビニを成功させたとしても、
すぐに日本の小売業界が変わるわけではありません。

すぐに、変わらなくとも
Amazon Goが経済や社会にもたらす
潜在的な影響力は極めて大きいのは確かです。

従来のコンビニとはまるで異なるビジネスモデル

小売店の店舗において、

「レジ自体がなくなること」と
「レジが無人化されること」は全く次元が違う話です。

日本のコンビニ各社は、2025年までに
レジを無人化する計画を打ち出しています。

「レジを打つ」という作業の一部をAIや機械を使って自動化し、
店員の作業効率をアップすることが目的です。

Amazon Goのような「無人コンビニ」はそもそもレジがなく
スマホアプリで、アマゾンのアカウントに登録したお客が入店します。
お店側は、どこの誰が入店し、何を購入したかまですべて把握できるということです。

従来の、不特定多数の人が来店するお店とは違う点は、
お客の過去のデータを蓄積できるということです。

過去のデータを蓄積すること
これがビックデータの活用です。
あらゆることがデータとしてクラウドに保存されます。

AIによって、データが処理されます。

AIが、顧客の過去の購入履歴から
来店した顧客におすすめ商品を案内します。

これはつまり、ネットショップと同じことが
実店舗でも可能になるということですね。

従来の不特定多数販売のときにはできなかった
顧客一人当たりの客単価を上げることが、
可能になるということです。

商品を並べて購入されるのを待つという
受け身の商売から、
お勧め商品を紹介して購入してもらう、
攻めの商売ができるようになります。

AIとビックデータのテクノロジーが
無人化を実現させます。

人件費は大幅に削減できます。

日本のコンビニは24時間営業が当たり前で、
コスト面でも人件費が占める割合は高いはずです。

全国にあるコンビニの平均的な広さの店舗の場合、
セブンイレブンで年間の売上高は2億3000万円、
ローソンの場合、1億6000万です。

この場合のアルバイトの人件費は
1600万~2000万円程度になることが予想され、
フランチャイズのオーナーの給料を加えると、
人件費は売上高の1割強となります。

現在、全国にコンビニは約5万店舗あります。
もっとあるように感じますが、
現実はそれくらいの店舗数です。

無人レジのコンビニが普及し、
5万店舗に導入されれば、
人件費(コスト)は減り、
Aiとビックデータを活用した
パーソナライズされたレコメンド機能で
一人当たりの客単価(売上)をアップさせることで
コンビニ経営が良くなることが容易に想像がつきます。

システムにかかる費用と人件費を天秤にかけても、
システムの方が安く、
コストがかかる人件費は削減していくことになります。

企業は、利益を出すことが使命なので、
この流れは止めることはできません。

ローソンは、お客の少ない時間帯の
深夜(午前0~5時)にレジを無人化する実験を、
首都圏の数店舗で始めると発表しました。

「支払いはスマートフォンの専用決済アプリ」でできるみたいです。

日本の労働人口は、少子高齢化社会になり、
ますます減っていきます。

産業界が直面する深刻な人手不足です。

その解決策として、無人レジがあり、

「最新のIT技術の活用によって24時間営業の利便性を維持する」

意向です。

実験は、既存の店舗を改装し、深夜は現金支払いを

受け付けず、出入り口に認証装置を置き、

アプリ利用者だけが入店できるような店舗になります。

決済の仕組みは、Amazon Goとは異なり、

顧客が商品のバーコードを自らスマホで読み取り、

支払いをするものです。

今までレジをしていた人の時間が
機械が代わりに、やってくれるので、
働く人が少なくても、お店を回せるようになります。

レジの作業がなくなるので、
店舗には朝からの営業に備えて
商品整理などの作業だけになります。

今後の課題は、無人レジ店舗を
全国の店舗へ広げることと、
決済アプリは来店客の利便性を高めることですね。

レジがスムーズになれば、
レジが混み合うことがなくなり、
お客の利便性は上がります。

「レジの無人化」はコンビニ、スーパーなどの
小売店における重要なキーワードです。

テクノロジーの進化と日本の労働人口の減少の流れの中では
必然の流れなのかもしれませんね。