AWSのサーバー代は「リージョン」が全て!VPNでは1円も安くならない理由と正しいコスト削減法

こんな悩みを解決できます

VPNを使えばクラウド料金が安くなると思っている

AWSの最適なコスト削減方法が知りたい

海外リージョンを使うメリット・デメリットを知りたい

読者さん
読者さん

ロベルトさん!AWSみたいなクラウドサーバーって、VPNで物価の安い国に繋いだら利用料も安くなるって本当ですか?

ロベルト
ロベルト

素晴らしい質問です。多くの方が抱く疑問ですが、結論から言うとVPNで料金を直接安くすることはできません。

今回は、なぜVPNでAWSのようなクラウドサービスの料金が安くならないのか、その理由と本当にコストを削減できる唯一の方法について、分かりやすく解説していきます。

VPNでAWS利用料が安くならない明確な理由

料金はサーバーの「リージョン(物理的な場所)」で全て決まる

AWSのサーバー利用料は、「どの国のユーザーがアクセスしたか」や「サイト運営者がどこからVPNで接続したか」では決まりません。

料金が決まる唯一の要因は、サーバーやサービスが物理的に存在するデータセンターの場所、つまりAWSで言うところの「リージョン」なのです。

例えるなら…

東京の銀座にある高級レストランで食事をすれば、会計は銀座の価格です。あなたがブラジルから電話で予約しようが、大阪から新幹線で来ようが、請求される食事代は変わりません。これと全く同じ原理です。

ロベルト
ロベルト

その通り。サーバーを「AWS東京リージョン」に設置して動かしている限り、料金は常に東京リージョンの価格表に基づいて請求されます。VPN接続は無関係なのです。

最も効果的なコスト削減方法は「リージョン変更」

では、どうすればサーバー利用料を抑えられるのか。その最も効果的な方法は、料金が安いリージョンにサーバーを設置することです。

AWSで料金が安い主要リージョン

一般的に、AWSで最も料金が安いとされている主要なリージョンはアメリカに集中しています。

  • 米国東部 (バージニア北部) us-east-1
  • 米国東部 (オハイオ) us-east-2
  • 米国西部 (オレゴン) us-west-2

これらのリージョンは、世界で最も早くからサービスが提供されており、規模が圧倒的に大きいため、スケールメリットにより料金が安く設定されているのです。

重要な注意点

ただし、日本のユーザーがメインのサイトで米国リージョンを使うと、物理的な距離が原因でウェブサイトの表示やファイルの送受信が遅くなる(レイテンシーが悪化する)という明確なデメリットがあります。

【試算】最安リージョンならコストはどれだけ変わるか?

読者さん
読者さん

なるほど!では仮に、コスト最優先で一番安い米国リージョンを使ったら、実際どれくらい安くなるんですか?

ロベルト
ロベルト

良い視点ですね。東京リージョンと比較して、主要サービスで平均15%〜25%ほど安くなります。具体的な例で見てみましょう。

あるサイトで月額27万円のサーバーコストがかかっていたと仮定します。これを最安の米国リージョン(例:オハイオ)で運用した場合、コストがどう変わるか見てみましょう。

比較項目東京リージョン米国リージョン(オハイオ)
平均月間コスト約27万円約21.5万円
コスト削減率約20% OFF
月間削減額約5.5万円
年間削減額約66万円
デメリットコストが割高日本からのアクセス速度が低下

このように、リージョンを変更するだけで年間で約66万円もの大きなコスト削減に繋がる可能性があります。

【結論】コストと利益のバランスが重要

たとえ世界で最も安いAWSリージョンを選んで最大限コストを最適化しても、それによってユーザー体験が損なわれ、サイトの収益が下がってしまっては本末転倒です。

最終的な判断のポイント

1. ターゲットユーザーは誰か?:日本のユーザーが中心なら、パフォーマンスを優先して東京リージョンを選ぶのが賢明です。

2. 許容できる速度低下は?:グローバル向けのサイトであれば、コストを優先して米国リージョンを選ぶ選択も十分に考えられます。

3. 収益モデルは何か?:広告収入がメインの場合、サイト表示速度の低下は収益に直結するため、慎重な判断が必要です。

ロベルト
ロベルト

このことから、VPN利用のアイデアは有効ではありませんが、「安いリージョンを選択する」というコスト削減は、サイト運営において非常に重要です。ただし、それはビジネスの目的やユーザー体験とのトレードオフになることを忘れないでください。

結局、VPNは意味ないの?
AWSの料金を安くするという目的においては、全く意味がありません。ただし、セキュリティ向上や海外からのアクセス制限回避といった別の目的では非常に有効です。
日本から一番近くて安いリージョンは?
コストと速度のバランスを考えると、韓国(ソウル)やシンガポールリージョンが候補になりますが、それでも米国リージョンほどの安さはありません。